介護事業所の破産の特徴を弁護士が解説

近年、介護事業所の破産が増加傾向にあります。高齢化により介護を受ける方は増加傾向にあるのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、利用を控える方が増加したり、介護職位の人員確保ができず利用料収入が低迷したりすることが主たる原因です。
介護事業所の破産にあたっては、利用者の方をどうするのかという問題が発生します。破産の予定があることが周囲に分かってしまうと、債権者からの問い合わせやなどが大量に発生し、通常業務を遂行することができなくなりますので、破産の予定は経営者および一部の従業員(主として会計担当)にしか知らせずに行うことが必要です。
他方、介護事業所の場合、ある日突然事業が停止されてしまうと、利用者の方に大きな問題が発生する可能性があります。
特に、独居の方の場合、来るはずの介護がある日を境に突然来なくなることの影響は非常に大きいものとなります。
したがって、廃業後、利用者さんのフォローをどうするのかを事前に検討しておく必要があります。そこで、サービス責任者やケアマネジャーに対しては、破産予定を伝えた上で、事前にリスクの高い利用者さんを選定し、事業廃止後のフォローを検討しておく必要があります。
さらに一歩進んで、リスクの高い利用者さんについては、事前に介護事業所の変更を検討することもありえます。ただし、この場合、利用者さんや変更後の事業所に「どうして変更するのか」と理由を聞かれるものと思われます。先述のように破産の予定は秘密にしなければ、現場に重大な混乱をもたらしかねません。そのため、たとえ高リスクの方であっても、適切な理由を示せない場合は、事前の施設変更までは行わないことが多いといえるでしょう。

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