民事再生に向かない会社

質問

 私の経営している運送会社は年商が10億円です。一昨年までは好調だったのですが,昨年度から売上が低迷し,赤字が続いているので,何とか会社を再生したいと考えています。
 金融機関からの借り入れは6億円ほどです。金融機関のほかには,年金事務所への未払いが2000万円ほどありますが,担当者に事情を説明し,理解してもらっています。従業員の給料も遅れておりますが,皆,文句を言わずについてきてくれています。
 民事再生はどんな会社でも適用できると聞いたので,私の会社でも取り組んでみたいです。
 

回答

 確かに民事再生は法律上,どのような企業でも適用可能ですが,再生手続が進められるかは別の問題です。特に次の問題については会社経営者にも誤解があるように思われますので,整理します。
 

①公租公課の滞納

 民事再生手続を行っても,税金や社会保険料といった公租公課については,免除の対象とはなりません。むしろ公租公課の支払い見込みがない場合,裁判所は民事再生の手続を開始してくれないこともあります。
 

②賃金の未払い

 従業員に対する未払賃金についても,免除の対象となりません。そのため,未払賃金がある場合,民事再生ができないことがあります。
 

③赤字経営

 民事再生手続は負債を免除してもらいますが,負債の一部については返済を行う手続きです。そのため事業そのものが赤字(経常赤字)では,返済ができません。
もっとも民事再生を契機にリストラを行い黒字化することも考えられますので,事業の分析が必要となります。
 

④免除益

 民事再生手続において再生計画案が認可され,負債の8割から9割の免除が行われると,税務上は免除された額に相当する免除益が発生し,これに課税される可能性があります。
 会社に繰越損や不動産の評価損があれば免除益と相殺することで対応できるのですが,繰越損などがない場合,納税資金の不足のため再生計画が立てられないこともあります。
 
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