経営者保証ガイドラインを選択し、多額の資産を残すことに成功した事例

概要

 業種 アパレル業、輸入販売業
従業員数 5名
 負債総額 約2億円
 債権者数 約25名

業績の悪化

衣料品及び衣料用付属品の輸入販売を業として行っており、平成の初めころは年商15億円、従業員約20名ほどの規模で営業を行っていた。その後、利益率の高い業務に転換することを目指して、中国生産のOEM、ODMの販売に特化するようにシフトしていったが、新型コロナウイルス感染症の流行によってアパレル業界全体が著しい不況に陥ると共に、中国工場での生産、商品仕入れが全くできなくなってしまったため売上が激減し、代表者が廃業を決意した。

処理の内容

会社については破産申立を行い、代表者個人に関しては、破産を回避して、経営者保証ガイドラインに基づく債務整理を行った。会社については税金の滞納があったために配当が難しい事案であったものの、個人にはまだ多額の資金が残っている事案であったため、個人の資産を残して早期廃業を決断することで、経営者保証ガイドラインにおける「インセンティブ資産」を残せるように金融機関と交渉し、結果として、250万円以上の現預金と、本来の評価額でいえば数千万円程度の自宅マンション(共有物件)を手元に残す内容で債務整理を成立させることができた。

ポイント

会社については、早期にXデーを設定して当事務所が全面的な窓口となり、売掛金の回収業務や自動車の売却などを積極的に行った。従業員の未払賃金全額を支払うことは難しい事案であったため、労働者健康安全機構による立替払いの対象とならない解雇予告手当について、当事務所において確保した資金を使って全額支払いを行い、未払給与に関しては、上記立替払手続きに必要な資料や申立書を作成して破産管財人に積極的に引き継ぐことで、破産開始決定後に8割の未払給与が支払われるように手配した。これにより、従業員が受ける不利益を最小限に抑えることができた。
代表者個人に関しては、初期の相談の段階で個人の資産に比較的余裕があることが判明したため、当該資金を上手に利用して、夫婦で共有となっている自宅マンションを何とか手元に残せるよう手続きを検討した。その結果、経営者保証ガイドラインに基づく債務整理を選択し、代表者を同行して何度も金融機関を訪問して理解を求めることで、現預金250万円以上を手元に残しつつ、本来であれば数千万円程度の評価となる自宅マンション(共有物件)を手元に残すことに成功した。経営者保証ガイドラインを選択することで、代表者個人の破産を回避することができただけでなく、破産の場合であれば現預金99万円しか残せなかったはずの事案で、多額の資産を残すことに成功した。

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