コロナの影響による顧客の大幅減により、経営の継続が困難となったホテルの破産事例

 業種 ホテル経営・飲食店経営
従業員数 約10名
 負債総額 約2000万円
 債権者数 約40名

業績の悪化

 従前から経営委託契約に基づいて経営受託会社が経営していたホテル及び併設レストランについて、新会社として設立された破産者が、従前の経営受託会社から経営を引き継いだところ、経営委託契約の内容が契約前の説明内容と違っていたり、想定していた人員の不足、備品の不足等によって、想定外の資金が必要となった。代表者の自己資金で補いつつ、何とか立て直しの兆しが見えた矢先、新型コロナウイルス感染症の影響による顧客の大幅減が発生し、経営の継続が困難となった。

処理の内容

 代表者は、まだ金融機関からの借入れをしていない段階(すなわち、代表者が借入の連帯保証をしていない段階)で当事務所に相談に来られており、相談当初は、金融機関からの新規借入れを受けるなどして事業を継続するという選択肢も考えられた。もっとも、新規融資を受けるということは、当該融資に関して代表者が連帯保証をするということを意味しており、その後経営が破綻した場合には、会社だけでなく代表者も破産申立をする必要が生じるというリスクがあった。代表者に当該リスクを十分に説明したうえで、将来のシミュレーションを行い、方針を協議・検討した。その結果、代表者が既に多額の自己資金を投じていたこと、経営開始直後の混乱の中で経営委託先との信頼関係が破綻していたこと、新型コロナウイルス感染症の影響が甚大であるためいずれにしても経営継続が困難となる可能性が高いことなどの事情を考慮し、新規融資を受けることなく、会社の破産申立を行うことにした。

ポイント

 早期の廃業の決断をしたおかげで、代表者の破産を免れることができた。
 ホテルについては、経営委託先が事実上営業を継続するという状態となり、一時的に混乱が生じたが、申立時に状況を詳細に破産管財人に説明して、適切な引継ぎを行った。結果として、ホテルの営業を止めることなく、廃業することができた。
 会社と代表者間の金銭の移動が多く、廃業直前に会社から代表者への返済が認められたが、破産管財人にきちんと状況を説明して、ごく短期間の同時交換的行為であることを主張したところ、破産管財人の理解を得ることができた。

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