新型コロナウイルス問題の影響

 新型コロナウイルスの広がりが,本日(令和2年2月25日現在)とどまる様子を見せていません。
多数のイベントが中止となり,国土交通省が時差通勤を呼びかけるなど,社会生活への影響が発生しており,終息時期もわからないため,経済的な影響が大きくなることが予想されます。
 特に,多数の人が集まることを想定している事業(飲食店,映画館など法律上は「場屋営業」といいます)へのダメージが大きくなると思われます。

政府の対応

 政府系金融機関である日本政策金融公庫はこの状況に対して,新型コロナウイルスに関する相談窓口を設置しております。この相談窓口は,単に相談することが目的ではないと考えられ,例えば,日本政策金融公庫からの借り入れがある場合,返済条件の変更(リスケ),に応じてもらえる可能性が高いといえます。
また,旅館業,飲食業について特別融資(衛生環境激変特別貸付)も行っており,急激な売り上げ減少の際には,運転資金の融資を受けることが可能です。
 もっとも,この貸付制度は,すでにリスケ中の企業に適用されるかは難しいところではないかと思います。
 また,日本政策金融公庫はリスケ対応も比較的積極的に行ってくれる金融機関ですので,政策金融公庫からの債務について,すでにリスケに応じてもらっている場合,かなり企業よりに踏み込んだリスケとなっていることがあります。となると,ここからリスケ済みの状態から「さらにリスケ」となっても,リスケによる資金繰りへの効果は限定的であると考えられます。
 となると,やはり,新型コロナウイルスを契機とする破産,民事再生が増加するのではないかと思われます。
 また,新型コロナウイルスの影響による売り上げ減少の場合,経営者の方の一部は,自ら問題を招いたものでないことから,本格的な対策に乗り出さないことがしばしばあり,事業の赤字化,運転資金の減少から目を背けがちです。
 新型コロナウイルスの影響の場合,売り上げ減少が一時的なものであろうとの判断から,運転資金が完全に尽きてしまうまで事業継続を模索し,親族などからの借り入れなどで,当面しのごうとする経営者の方もおられると思います。

まとめ

 冒頭に申し上げたように,今回のウイルス問題はいつ終息するか予想ができないものです。また,終息したとしても一旦下向きになった景気環境が,終息を機に上向くとは必ずしも言えない場合があります。
そして運転資金が完全に尽きてしまうと,民事再生や破産の申し立てにも苦慮することになると思われます。また,親族からの借り入れも尽きてしまうと,破産や民事再生をしたとき,再起のために頼れる先が尽きていることがしばしばあります。
 そのため,新型コロナウイルスによる売り上げ減少の場合,運転資金をシビアに把握し,リスケジュール,民事再生,破産などそれぞれの場面で採りうる手段を検討しておくべきといえるでしょう。
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