製造業

 おおよそ,事業を営まれる以上,不幸にして破産に至るケースは一定の割合存在します。
一口に破産といっても,業種によって,特徴があるように思いますので,注意点などをご紹介いたします。
 第一回は製造業の場合です。
 製造業を営んでおられる会社は社歴が長い企業様が多いように思います。これは,近年の日本の産業構造が第三次産業(サービス業)にシフトされていること,製造業を新たに立ち上げるには初期投資が必要であることなどから,製造業に新規参入される方は(特に都市部では)少ないように思います。
 そのため,現存している製造業はいずれも社歴が長く,社長は2代目,3代目の方が多いように思います。
そのような製造業が経営不振のため,破産に至る場合,次のような特徴があるように思います。
 まず,製造業という性質上,従業員が複数おられることが多いといえます。したがって,破産を行おうとする際には,従業員の方への賃金や解雇予告手当の確保が必要になり,その金額が大きくなる場面が他業種に比べて多いといえます。
 このような場面では,賃金に未払いが残り,労働者健康安全機構に未払い分を立て替えてもらう必要があります。
 したがって,製造業の破産においては,労働時間や賃金の管理を示す資料を厳密に確保し,破産の申立を行えるよう,ご準備をお願いする場面が多いように思います(労務管理に関する資料が散逸しないようにご注意ください)。
 他方,製造業の場合,製造設備には高価なものがあり,一定以上の売値が付く場合がしばしばあります。そこで,破産の弁護士費用を設備,機械を売却して捻出できるケースも多いといえます(破産の費用についてはご相談に応じられるケースが他業種より多いといえます)。
 また,工場新設には期間と費用を要することから,事業拡大を目指す同業者が,工場不動産と設備を買い取ってくれることもありえます。とはいえ,工場買取は大がかりな取引ですので,買主側に十分な時間を与えなければならず,時間切れとなることもしばばあります(工場の営業譲渡の場合は,早目にご検討,ご準備を進める必要があります)。
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