建設・建築業の倒産(破産)の手続きの流れや特徴、注意点を弁護士が解説!

現在、会社の資金繰りが厳しく、倒産や破産を検討されている状況ではないでしょうか?

特に建設業は、景気や資材価格、人件費の高騰など、外部環境の影響を大きく受けやすいため、事業の継続が困難になるケースも少なくありません。

このコラムでは、建設業に特化した倒産(破産)の手続きの流れや、建設業ならではの特徴、注意点について、専門家である弁護士の視点から詳しく解説します。

この記事を最後までお読みいただくことで、建設業の法人破産に関する全体像を把握し、取るべき行動や注意すべきポイントを理解することができます。

具体的には、以下の内容について詳しく説明します。

  • ・建設業が倒産(破産)する主な要因
  • ・建設業の倒産(破産)手続きの特徴
  • ・実際の破産手続気の流れ
  • ・建設業の破産における注意点

この記事は、以下のような悩みを抱えている建設業の経営者の皆様に特におすすめです。

  • ・会社の資金繰りが限界に達し、破産を検討しているが、何から手をつけて良いか分からない
  • ・建設業特有の事情が、破産手続きにどう影響するのか知りたい
  • ・従業員や取引先、下請け業者への影響を最小限に抑えたい
  • ・弁護士に相談すべきか迷っている

このコラムが、皆様の抱える不安を少しでも軽減し、今後の選択肢を考える一助となれば幸いです。

建設・建築業が倒産(破産)する要因

建設業の倒産(破産)は、単一の要因ではなく、複数の問題が複合的に絡み合って発生することがほとんどです。

長年、多くの建設業の経営者様からご相談を受けてきた私の経験から、特に多く見られる倒産要因について、具体的な数字や事例を交えながら解説します。

建設・建築業における倒産要因の現状

帝国データバンクの調査によると、2023年度の建設業の倒産件数は1,671件に達し、前年度比で4割以上増加しました。

これは、過去10年で最も高い水準です。

(1)資金繰りの難しさ

建設業の経営の難しさの一つに、資金繰りの難しさがあります。

建設業者は着工金、出来高に応じた中間金、完工金といった具合に、代金を受領していきますが、何等かのアクシデントがあり工事が延びる場合があります。

その場合に中間金や完工金の受領が遅れ、資金繰りを圧迫する場面がしばしばみられます。

工事が遅れている間も、資材や人件費の支払いは待ってくれないので、資金繰りは悪化しがちです。

さらに、現在は下請法などにより改善傾向にありますが、親事業者の支払いサイトがシビアで、下請け業者は自らの資金で「つないで」行かなくてはならない場合が多々あります。

(2)資材高騰・人件費上昇

近年はウクライナ戦争などの影響で、資材、燃料がいずれも高騰しております

さらに、少子高齢化の影響、「キツイ」と思われる職場に対する若者の敬遠により、若手の人材確保が非常に難しくなっております。

熟練工の取り合いは非常に厳しく、人件費の増加が不可避となっています。

また、人材確保ができないために、仕事が十分にこなせず、売上が維持できず、負債の返済が滞るといった事態も非常に多くみられます。

(3)公共工事減少による競争激化

これまで公共施設の工事は、建設業にとって大きな収入源となっておりました。

しかし、近年の我が国の財政悪化や、いわゆる「箱もの行政」を避ける傾向から、公共工事は大きく減少しております。

財務省の発表を見ると平成10年には15兆円あった公共事業予算は、現在は半分ほどになっていることからも、公共工事の減少は顕著といえます。

そのため、公共事業を主たる売上にしていた建設業者は現在、苦境に立たされています。

そのた め、多くの建設会社が⺠間⼯事へとシフトし、競争が激化しています。

価格競争に巻き込ま れ、適正な利益を確保できないまま受注してしまうと、⾚字⼯事となり、会社の体⼒を蝕むことになります。

建設・建築業の倒産(破産)の特徴

建設業の倒産(破産)には、他の業種にはない特有の特徴がいくつかあります。

これらの特徴を事前に理解しておくことで、より円滑に破産手続きを進めることができます。

ここでは、建設業に特有の倒産(破産)の特徴について、弁護士の視点から詳しく解説します。

建設業特有の資産や負債

建設業が抱える資産や負債は、他の業種とは異なる特徴を持っています。

まず、資産面では、重機や車両、資材といった動産が挙げられます。これらの動産は、売却することで換価できますが、査定や売却手続きに専門的な知識が必要となる場合があります。

負債面では、工事代金の未払いや、下請け業者への未払い金が特徴的です。

工事代金の未払いについては、破産手続きにおいて、発注元に対して代金の支払いを請求する必要があります。

しかし、発注元が倒産した会社の工事の完了を証明する書類の作成に協力してくれない場合や、逆に発注元から手抜き工事や遅延を理由に損害賠償を請求されるケースも少なくありません。

職人や下請け業者への対応

建設業は、多くの職人や下請け業者との関係で成り立っています。

会社の倒産(破産)は、これらの関係者に大きな影響を与えます。

特に、未払い工事代金や給与の問題は、職人や下請け業者の生活に直結するため、深刻な問題となりがちです。

建設・建築業の破産手続きの流れ

建設業の倒産(破産)手続きは、他の業種と同様に、裁判所を通じて行われます。

しかし、建設業特有の資産や負債、関係者の存在を考慮すると、より慎重な手続きの進行が求められます。

ここでは、建設業の破産手続きの一般的な流れについて、各ステップでの注意点を交えながら解説します。

弁護士への相談(スタート)

建設業の経営者が破産を考えた場合、最初に行うべきは、弁護士への相談です。

弁護士は、会社の財務状況や債務の内容を詳細にヒアリングし、破産手続きの可能性や、手続きにかかる費用、期間などを説明します。

この段階で、会社の資産と負債、取引先や従業員との関係を正確に把握することが重要です。

特に、建設業の場合は、工事の進捗状況や、未回収の工事代金、下請け業者への未払い金などを正確にリストアップできればのちの業務が非常にスムーズになります。

受任通知発送(相談から2週間後)

債権者などのリストアップが済めば、弁護士が受任通知を発送します。

この時点で、会社は事業を停止し、債権者の窓口は法律事務所になります

弁護士は債権者対応を行いつつ、事務所の明け渡し、売掛金の回収などを行います。

また、裁判所に提出する書類を整えていきます。

破産申立て(相談から4か月程度)

破産手続きの準備が整ったら、弁護士が代理人として裁判所に破産申立書を提出します。

破産申立書には、会社の財務状況や、破産に至った経緯、資産や負債の一覧などを詳細に記載します。

建設業の場合、申立書には、保有していた重機や車両、資材などのリストを添付し、これらを売却した場合、その内容を説明する必要があります。

また、未回収の工事代金については、契約書や請求書などの関連資料を揃えることが重要です。

開始決定・管財人就任(相談から5か月程度)

申立て後、裁判所は破産手続き開始の決定を下します。

この決定により、会社は事業活動を完全に停止し、破産管財人の管理下に置かれます。

破産管財人による財産調査と債権者集会(相談から8か月程度)

破産手続き開始の決定後、裁判所は破産管財人を選任します。

破産管財人は、会社の財産を管理・処分し、債権者への配当を行う役割を担います。

建設業の場合、破産管財人は、まず会社の所有する重機や車両、資材などの財産があるかを調査します。

これらの財産がある場合、専門の業者に査定を依頼し、適切な価格で売却することで換価されます。

ただ、これらの資産は、保管料の問題もあることから、破産申立て前に適正な価格で売却しておくのがほとんどです。

また、破産管財人は、未回収の工事代金がある場合は、発注元に支払いを請求し、回収した金銭を破産財団に組み入れます。

管財人の業務は約3か月に一度裁判所で開催される債権者集会で説明されます。

債権者集会は管財人が財産の調査と回収をすべて終えるまで行われます。

売却可能なものをすべて売却し、回収可能な債権をすべて回収できれば、債権者への配当となります。

ただし、配当には破産で定められた順位があり、税金などの一部債権が下請代金などの債権より優先的に支払われます

そのため、下請業者にまで配Dが回らないこともしばしまあります。

建設・建築業の破産における注意点

建設業の破産手続きは、他の業種にはない特有の注意点があります。

これらの注意点を事前に理解しておくことで、トラブルを未然に防ぎ、手続きを円滑に進めることができます。

重機・資材など特殊な資産

建設業者は、重機や資材を保有していることがしばしばあります。

特に大型の工事機械は市場性が高いことが多いのです。

しかし、これら機械は規格が大きいので、厳重に管理しがたいといった事情があります。

そのため、建設業者が破綻すると、債権者である下請業者が工事機械を持ち去ろうとする場面がしばしばあります。

これらの持ち去りは犯罪で、無断で持ち去られた場合は、警察に対応を求めることになります。

警察にしっかりした対応を求めないと、のちに破産管財人から「共犯ではないか、財産隠しではないか」と疑われるので、被害届の提出は必須です。

「大型の重機の窃盗は、窃盗罪の中でも悪質である。」というのが警察の考え方ですので、警察は比較的熱心に対応してくれ、私が担当した事件でも逮捕者が出るようなこともありました。

しかし、破産準備のゴタゴタ時に、警察に事情を説明したり、現場検証に立ち会ったりというのは、非常にロスが多いため、重機や資材の持ち出しを防止することが必要です。

他方、これらの重機類を所有している場合、これを販売して破産費用に充てることができますので、破産費用について頭を悩ませなくても済みます。

仕掛り工事の扱い

営業中の建設業者が破産準備に入る場合、多くの場合で完工していない工事の問題が発生します。

工事の進捗によっては、受領した着工金に満たない工事しか進んでいない場合や、他方、中途とはいえ、一定額工事代金を受領できる場合もありますので、破産準備に入るにあたっては、何をどこまで工事できているのかを整理する必要があります。

またそのような整理をすることで、後継の工事業者にスムーズな引継ぎができ、施主、発注者にかける迷惑を減少させることもできます。

未払金が複雑

建設業が破綻した場合、金融機関・リース以外の債権者として、従業員、下請け業者、および資材業者がありえます。

しかし、建設業で働いている職人さんの中には、従業員というべきか、下請け業者というべきか悩ましい方がおられます。

従業員(=労働者)である場合と下請け業者となる場合で、破産法上の扱いが異なりますので、専門的な分類が必要となります。

また、一つの建設現場には多数の業者が参加していることもあり、その場合、指揮命令系統と受発注の系統が異なる場合があります。

このような場合にも、誰が債権者で債務者であるのかを十分に整理していく必要があります。

建設・建築業の破産を弁護士に相談するタイミング

建設業の経営者が破産を検討する際、いつ弁護士に相談すべきか悩む方も多いと思います。

結論から言うと、できるだけ早い段階での相談が不可逆な事態を防ぎ、最善の選択肢を見つけるために極めて重要です。

ここでは、具体的にどのような状況になったら弁護士に相談すべきか、そのタイミングについて詳しく解説します。

資金繰りが厳しくなった時

資金繰りがショートし、手形や小切手の決済ができない、従業員の給与支払いが滞るなどした場合、 会社の運営は立ち行きません。

その場合は、破産しか選択肢がなくなります。

そこで、そうなる前に、弁護士に相談することが重要です。

この段階で相談す ることで、破産以外の選択肢(例えば、リスケジュールや事業譲渡など)も検討する時間的 余裕が生まれます。

また、検討の結果、破産となってしまっても、極力従業員や下請け企業に迷惑をかけない破産の進め方ができます。

税務署や社会保険事務所と折り合えなくなったとき

経営状況が悪化した建設業者は消費税や社会保険料を滞納していることがしばしばあります。

これらの支払いについては一定程度、猶予を認めてくれることがほとんどですが、これにも限界があり、税務署などの担当者と折り合えなる、担当者からの提案が資金繰り的にとても飲めないものになることがあります。

分割納付について税務署と折り合いがつけられないと、税務署は売掛金の差押えを実施し、売掛金を差押えられると途端に資金がショートしてしまいます。

したがって、滞納につき、税務署や社会保険事務所と折り合えなくなったときは直ちに弁護士に相談いただくべきです。

債権者からの督促が厳しく経営者の精神的な負担が大きい時

金融機関や取引先、下請け業者からの借入金の返済や買掛金の支払いを求める催促が厳しく なった場合も、弁護士に相談すべきタイミングです。

このような状況は、会社の信用が失わ れ、事業継続が困難になっているサインです。

このような場合には弁護士に相談することで、債権者への対応を一任でき、精神的な負担を軽減することができ ます。

また、弁護士が介入することで、債権者からの直接的な連絡が止まり、冷静に今後の 対応を検討する時間が確保できます。

経営者自身の精神的な負担が大きくなった時

経営者一人で会社の資金繰りや倒産の問題を抱え込むことは、非常に大きな精神的負担となります。

不眠症になったり、食欲がなくなったりするなど、心身ともに限界に達してしまう ことも少なくありません。

弁護士は、法律の専門家であるだけでなく、経営者の精神的な支えとなる存在にもなりえます。

会社の状況を客観的に分析し、今後の見通しを明確にすることで、経営者の心の負担を 軽減することができます。

建設・建築業の破産を弁護士に相談するメリット

建設業の倒産(破産)を検討する際、弁護士に相談することには、多くのメリットがあります。

ここでは、弁護士に相談することで得られる具体的なメリットについて、専門家の視点から詳しく解説します。

複雑な手続きを任せられる

破産手続きは、非常に複雑で専門的な知識が必要です。

特に、建設業の場合は、工事契約や下請法など、建設業特有の法律や慣行が関係してくるため、さらに複雑になります。

弁護士は、これらの法律や慣行に精通しており、適切かつ迅速に手続きを進めることができます。

例えば、未回収の工事代金の回収や、下請け業者との間の債権債務関係の整理など、専門的な対応が必要な部分をすべて任せることができます。

債権者への対応を一任できる

破産手続きを進める際、金融機関や取引先、下請け業者などの債権者からの連絡が殺到することが予想されます。

これらの対応は、経営者にとって大きな精神的負担となります。

弁護士に破産手続きを依頼すると、弁護士が債権者への窓口となり、すべての連絡を代行します

これにより、経営者は債権者からの直接的な連絡から解放され、手続きに必要な書類の準備などに集中することができます。

最善の解決策を提案してもらえる

弁護士に相談することで、破産手続きだけでなく、会社の状況に応じた最善の解決策を提案してもらえます。

例えば、まだ事業再生の可能性がある場合は、事業譲渡や民事再生などの選択肢を検討することができます。

破産後の生活再建に向けたアドバイスがもらえる

破産は、会社の解散を意味しますが、経営者自身の人生が終わるわけではありません。

破産後の生活再建に向けて、新たな一歩を踏み出す必要があります。

弁護士は、破産手続きの完了後も、経営者の生活再建に向けてアドバイスをすることができます。

例えば、再就職に向けた相談や、新たな事業を立ち上げる際の注意点など、具体的なアドバイスを提供することで、経営者のセカンドキャリアを支援することができます。

まとめ

建設・建築業の倒産(破産)は、資金繰りの悪化や資材価格の高騰、人件費の上昇など、複数の要因が絡み合って発生します。

特に、建設業特有の複雑な債権債務関係や、建設業許可、下請け業者との関係など、他の業種にはない特徴と注意点があります。

破産手続きを検討する際には、資金繰りが厳しくなった時や、債権者からの催促が厳しくなった時など、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談することが重要です。

弁護士に相談することで、複雑な手続きを任せられ、債権者への対応を一任でき、最善の解決策を提案してもらうことができます。

私たちは、これまでに多くの建設業の経営者様からのご相談を受け、破産手続きをサポートしてまいりました。

建設業界の特殊な事情を深く理解しているからこそ、貴社にとって最適な解決策を見つけ出し、スムーズな破産手続きの実現をサポートすることができます。

資金繰りの悪化や借入金の返済に悩み、先の見えない状況で不安を抱えている建設業の経営者の皆様、一人で抱え込まずに、まずは一度、私たちにご相談ください

初回相談は無料でお受けしています。

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