中小企業のための再生・破産相談

06-6311-0065 初回相談料無料。 まずはお問い合わせください。

  • トップページ
  • 会社破産
  • 民事再生
  • 解決事例
  • Q&A
  • 弁護士紹介
  • 弁護士費用
  • お問い合わせ
  • HOME
  • 破産者マップ
最近,インターネット上で「破産者マップ」なるサイトが作られ,破産者の住所氏名が表示されるという問題が発生しております(現在は閉鎖中のようです)。
 
サイトの運営主は,「破産者の住所氏名は,官報に掲載されたものであり,官報は誰でも閲覧できるものであるから,これを転載したにすぎない『破産者マップ』は違法ではない」と考えているようです。
 
筆者は,法人の破産や代表者の破産を取り扱う弁護士として,上記サイトは破産者のプライバシーを侵害し,生活の再建を妨げるものではないか,との疑問を強く持っており,同サイトには反対の考えです。しかし,表現の自由はその内容にかかわらず十分に尊重されるべきものであることも当然であり,かつ,「公表されている官報を転載しただけだ」というサイト運営者側の理屈をそう簡単には論破できないようにも思っています。
 
一般にも,上記サイトについては賛否両論ある様子です。
 
もっとも,今回の問題は,官報という制度にある法律の「ホンネ」と「タテマエ」の相違が原因のように思います。
 
日本の社会には法律の世界でもホンネとタテマエがあり,これは少し古い本になりますが,ローマ法の研究者である柴田光蔵京都大学名誉教授の著書「タテマエの法 ホンネの法」にも詳しく著されております。同教授は法の「ホンネ」と「タテマエ」の問題について,当時世間をにぎわせていた「松井秀喜選手への五打席連続敬遠」をテーマに説明をされ,五打席連続敬遠はタテマエの法(ルール)には反しないが,ホンネの法を重視する世間からは違和感を持たれたのではないかと分析しておられました。
 
官報と破産者マップの問題でも,官報の「公的な発表を,世間に周知し,関係者全員に権利行使の機会を与える」というタテマエの役割と「官報など一部の人しか見ないし,プライバシーなどの問題から,それはそれでいい」というホンネの部分がこれまで絶妙にバランスをとっていたように思います。これまで官報は「細かい字で大量に公告された破産者の情報など,ほとんど誰も見ていない」「一部の例外的な人しか保管していないので,昔の官報に何が載っていたかなど,普通の人には分からない」という程度のものでした。
しかし,情報ツールの発達によって,今日は,大量の情報を半永久的に保存し,かつ簡単に検索可能な状態にすることが可能となりました。また,インターネット上でそれを多数の人がアクセスしやすいようにすることも可能になりました。
 
そのため,今回の「破産者マップ」などというものが登場するに至ったのです。
 
官報に破産者の情報を掲載するのは,既に述べたとおり非常に形式的なものであり,その必要性自体がさほど重要なものではないと思われます。
 
現在,「破産者マップ」は閉鎖されていますが,同じような情報サイトが再び作られる可能性は否定できませんし,運営元などが情報削除のための手数料を要求したりするという事態も考えられます。
 
このことからしても,破産者情報の官報への掲載そのものについて,法律改正の議論を行うべきではないかと思います。